犬の甘噛みは放置しないで!甘噛みをする理由や上手に躾ける方法を紹介します

犬は「噛み」でコミュニケーションを取る生き物です。
しかし人間社会で同じ家族として生きる以上、噛み癖をそのままにしておくとトラブルの原因になりやすいもの。
今回は、犬が甘噛みをする理由や、甘噛みの躾についてご紹介します。
甘噛みをする犬の姿は可愛いく、痛みも少ないのでついついそのままにしてしまいがちです。正しい理解と躾の方法を身につけ、人間と犬がお互いにストレスが無い状態を目指しましょう。
犬が甘噛みをする理由は?
甘えたい気持ちの表れ
犬は「構ってほしい」「甘えたい」と思った時に、甘噛みをしやすい傾向があります。
飼い主の手や服を噛んで気を引き、自分を見てほしい気持ちを表現します。
特に子犬期の甘噛みは痛みもほとんど無く、見た目も愛らしいことから、甘噛みをされると構ってしまう飼い主さんも多いものです。
しかし甘噛みに応えて反応すると、噛む行為そのものが改善されづらくなってしまいます。
歯の生え変わりで痒い
犬も人間と同じように、子供から大人になる過程で歯が生え変わります。
平均的には生後7ヵ月~8ヵ月で乳歯から永久歯に生え変わるのですが、この期間は口の中が痒く、甘噛みが増えやすい時期でもあります。
それまでに甘噛みをしなかった子が噛む機会が増えた場合、生え変わりの影響を疑います。
心理的な原因ではなく「痒さ」が理由のため、無闇に叱りづらいことも飼い主の悩みの種になります。
犬自身の本能的欲求
元々、犬は「噛む」ことで生存をして生きてきた動物です。
噛むことは、犬にとってコミュニケーションであると同時に狩猟の手段。
生きるために備わった本能であり、ペットとして品種改良された現在の犬種にもこの本能は残っています。
そのため、攻撃の意図が無くても噛みいは自然と生じる行動です。
可愛くて小さな犬種であっても「噛む」は犬としての自然な欲求なのです。
不安や恐怖を表現している
犬は言葉を話せないので、コミュニケーションの手段が限られています。
本当は不安や恐怖を感じているのに飼い主が察してくれないと、噛むことで意思表示をすることがあります。
しかし飼い主との絆がある以上、犬も本気で飼い主を「傷つけよう、痛がらせよう」と思っているわけではありません。
あくまで心理表現の一環となるので、少し緩めに噛甘噛みに留まります。
口の中に入れて確認したい
特に子犬の時期は、目に映るものすべてが新鮮で好奇心に満ち溢れています。
「気になるものは全部確認したい!」という気持ちが強まった時に、何でも口に入れてしまいがちです。
口の中の感覚も使い、興味の対象が何なのかを認識したいのです。ヒラヒラと動く手や服は、好奇心旺盛な子にとっては恰好の「観察対象」となります。
甘噛みを躾けないと起こるトラブル
家族以外の人にも甘噛みしてしまう
甘噛みの躾をしないと、さまざまなトラブルの原因になります。
まず重大な可能性として挙げられるのは、家族以外の人への「噛みつき被害」です。
犬は甘噛みのつもりでも、相手が小さな子供だったらどうでしょうか。万が一怪我をさせてしまったら取返しのつかないことになるかもしれません。
仮に怪我が無く相手が大人だったとしても、場合や程度によっては強い恐怖感を与えてしまうでしょう。
本気噛みになる可能性がある
基本的に甘噛みは相手を傷つける意図はありません。しかし甘噛みをしている内に興奮してくると、つい力が強く入ってしまい「本気噛み」になる可能性があります。
また、子犬時代の甘噛みの力加減のまま成犬になると、顎が強さも成長するので痛みが増します。特に小さな子供がいる家庭や、多頭飼いで小型犬を飼っている場合では、本気噛みによる被害の大きさが懸念されます。
物を壊してしまう
噛む力が抑制できないまま成犬になると、家具や布製品などを壊してしまう可能性があります。
特に木製の椅子や机、ベッドの足などは噛みやすく、気づいたらボロボロになってしまう場合も。
さらに零れた木くずが怪我や誤飲の原因にもなりかねません。
怪我や誤飲をしてしまう
甘噛みをしている状態で、うっかり異物を飲み込んでしまう危険性も無視できません。
特に小石やアクセサリーなどの小さい物は飲みこみやすく、命に関わる可能性も。
元々飲みこむつもりは無くても「つい飲んでしまう」は成犬でもあり得る事故です。
飼い主が見ていない場所で起こる可能性もあるからこそ、普段から甘噛みをしないよう躾けるべきでしょう。
甘噛みを上手に躾ける方法
甘噛みをしたらその場を離れる
甘噛みをされたら、大きく騒がずにそっとその場を去りましょう。
飼い主に構ってほしい欲求から甘噛みをするタイプの犬には、特に効果的な対処法です。
目を合わせずに違う部屋に移動し、甘噛みをやめるまでは相手にしないことが大切です。
少し可哀相に思うかもしれませんが「甘噛みをしても構ってもらえない」と覚えさせることで、余計な噛みつきを抑えられます。
甘噛みをやめた時に褒めてあげる
無視を通して甘噛みをやめた時には、大げさに褒めてあげましょう。
これにより「甘噛みをしても構ってもらえないけれど、やめたら遊んでくれる」と学習させます。
甘噛みをしている時とやめた時の「反応のメリハリ」が大切です。大げさに無視して大げさに褒める、を意識して対応してみてくださいね。
甘噛み防止スプレーを使う
甘噛みの躾が難しいのであれば、ペット用の甘噛み防止スプレーをおすすめします。
スプレーは舐めると非常に苦い成分が含まれていますが、もちろん体への支障はありません。
カーテンやコード、スリッパ、家具などの噛みやすい部分にスプレーをするだけで甘噛み防止になります。
躾をしなくても自分から「苦いから噛むのをやめよう」と引いてくれるのが特徴でありメリットです。
ちなみにこのスプレー、筆者も試しに舐めたことがありますが……舌先がビリビリと痺れてしまうほどに苦かったです!こんなに苦い目に遭うのなら、もう2度と舐めたくないと思いました。
よく噛んでいるものを新品に変える
犬は、噛みなれている物や、自分や飼い主の匂いが付いているものに甘噛みをしやすい傾向があります。
そのため、よく噛んでいるものを新品に変えることで甘噛み防止に繋がります。
特に靴下やスリッパ、バスタオルなど「体との触れあいが多い物」は匂いが付きやすく、甘噛みの標的になりやすいです。古いものは捨てなくても構いませんので、犬の口が届かない場所に保存しましょう。
甘噛み以外の方法で構う時間を増やす
甘噛みは、飼い主のことが大好きな気持ちの裏返しであるケースも多いです。
噛むことでコミュニケーションを取り、飼い主との触れあいの時間を設けたいと思っている可能性があります。
そのため、甘噛み以外の交流方法を提示する方法が有効です。
犬にとって「噛まなくても構ってもらえる方法がある」と気づいてもらえれば、自然と甘噛みの頻度も減っていくでしょう。
噛みつく前に待てるように躾ける
甘噛みの躾をしている最中でも、つい我慢できなくて噛んでしまいそうになる時もあるでしょう。
そんな時のために「伏せ」と「待て」は事前に覚えさせておきましょう。
噛もうとしたら「待て」、からの「伏せ」。上手にできたらしっかりと褒めて、ご褒美をあげる。
この一連の流れを繰り返すことで「噛むのを我慢したらご褒美を貰える」と覚えてもらえるだけではなく、「伏せ」と「待て」の躾の反復練習にもなり、さらに「噛む」という行為の機会を減らすことができます。
「伏せ」と「待て」は甘噛み対策以外にも、犬と飼い主の安全を守るためにも必須となる躾です。ぜひ、甘噛みの躾と同時進行で浸透させてあげてください。
「噛む専用」のおもちゃを与える
甘噛みは犬の本能的な行動でもあるので、ただ闇雲にやめさせるだけではストレスが溜まってしまいます。
噛んではいけないものを教えると同時に「噛んでもいいおもちゃ」を与えましょう。
太くて固いロープタイプのおもちゃや、動物のヒヅメなどの噛み応えのあるおもちゃがおすすめです。
噛む行為でリラックスできるケースもあるので、本能の発散方法を準備してあげてくださいね。
甘噛みの躾でしてはいけないこと
叩く・暴力を振るう
甘噛みの躾において、絶対にしてはいけないことは「暴力」です。
体罰を受けた犬は飼い主に脅えるようになり、不安や恐怖からますます噛む頻度が高まる可能性があります。
何よりも、今まで築きあげた飼い主との信頼関係が崩れさってしまいます。
人間自体にトラウマを覚えてしまうかもしれませんので、絶対にやめましょう。
甘噛みをされた時に大げさに騒ぐ
甘噛みをされた時の「痛さ」をアピールするために大げさに振るまう行為は、逆効果になってしまうケースが多いです。
犬からすると飼い主が「楽しそうに騒いでる」ように見えてしまう可能性があるからです。
大きな声をあげること自体は効果的かもしれませんが、犬にとって紛らわしい行為は控えましょう。
甘噛みを放置する
子犬の甘噛みは可愛いですよね。生え揃っていない口でアムアムとしゃぶるように噛まれると、その愛らしさに心を奪われてしまいます。その可愛さは叱ることもはばかられる程です。
しかし、甘噛みはできる限り若いうちに躾けるべきです。
可愛いからと放置していると成犬になっても噛み癖が治らず、家族以外を怪我させてしまうかもしれません。
また放置すればするほど、犬にとっては「今まで噛んでも怒られなかったから」と躾が浸透しづらくなるでしょう。
心を鬼にして、子犬の頃から躾をするよう心がけてくださいね。
まとめ
今回は、犬が甘噛みをする理由や対処法などをご紹介しました。
甘噛みの躾は、トイレの躾と同じ位に飼い主さんを悩ませます。本能に基づいている行為だからこそ、簡単にやめさせることは難しいものです。
時には、厳しく躾けるよりも「自分にメリットがある」と覚えさせた方が成功するパターンもあります。
ご褒美を交えながら、少しずつ甘噛みを対策していきましょう。
公開日:2018/7/11 最終更新日:2022/3/14