【元ペット保険会社員が解説】ペット保険を初めて選ぶ時の比較チェックポイント

PCを見る犬

少しずつ定着してきたペット保険ですが、保険内容や料金体系などについて詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか?

今回は、ペット保険会社に勤務していた経験を活かし、どのようなポイントを押さえて犬・猫のペット保険を選べばよいのかを解説します。

また、今人気のペット保険や自分に合った保険の選び方についてもお伝えします。

ペット保険が初めての方だけでなく、乗り換えを考えている方もぜひチェックしてみてくださいね。

まずはペット保険契約までの流れを把握

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まずは、ペット保険の契約までの流れを把握しておきましょう。

すぐに探し始めたとしても、理想のペット保険にたどり着くためには多くの時間と労力を消費するからです。

あらかじめ下記の大まかな流れと、必要な情報を整理しておくとよいでしょう。

1. 犬種、年齢、既往歴の把握
※猫種による保険料の違いはほぼありません
2. ペット保険の補償内容の理解
3. ペット保険の比較
4. ペットショップまたはネットからの申し込みによる契約

ペット保険の比較サイトに表示されている保険料はあくまで一例で、犬なのか猫なのか、年齢はいくつなのかなどによって変わります。

またこれまでに罹ったことのある病気やケガ、ブリーダーやペットショップ、動物病院で先天性疾患があると言われているものがあれば、契約時に洩れなく伝える必要があります。場合によっては契約自体ができないこともあるため確認しておきましょう。

次は、ペット保険の比較です。重要な比較ポイントはこの後解説します。

ペットの情報が揃い、比較ポイントを把握できたら、いよいよ保険選びです。

加入する保険が決定したら、ペットショップやネットからの申し込み、または契約書類の郵送によって契約を交わすことになります。

なおペットショップで契約できる保険は、そのお店がペット保険の代理店である場合のみです。

ペット保険の比較ポイントをチェック

手帳に書かれたリスト

ペット保険を選ぶときは何を見たらよいのか、どのような選択が適当なのかわからない場合、以下の解説が参考になるはずです。

私たちが使っている健康保険とは少し違い、ペット保険には使用回数や支払われる金額の上限が設定されているなど、比較するための知っておくべきポイントがいくつもあります。

大切なポイントをしっかり押さえておきましょう。

契約するための年齢の上限

ペット保険は何歳でも加入できるわけではなく、高齢になるほど加入できる保険が限られてきます。

特に7、8歳を過ぎるとシニア期となり選択の幅が狭くなるので、高齢のペットの保険を探す場合には必ず年齢制限を確認しましょう。

治療費に対する補償割合は50%か70%

補償割合とは、動物病院で支払った治療費に対して保険会社から支払われる金額の割合です。

治療費が1万円だった場合、補償割合が50%であれば保険金として5千円を受け取れます。

私たちが使っている健康保険は3割負担、つまり補償割合は70%ですが、一部を除きほとんどのペット保険会社が50%か70%の補償割合となっています。

補償限度額

ペット保険の利用には上限があり、保険金をどこまでも受け取れるわけではありません。

一日単位で限度額が決まっているものもあれば、一年間単位で「○○円まで補償」といった形で限度額が決められているものもあります。

治療費が3万円で50%補償プランに入っている場合、本来受け取れる金額は1万5千円になりますが、一日の補償限度額が1万円と設定されていれば1万円までしか受け取れません。

一年間で使える限度日数(通院・入院・手術)

ペット保険には、契約期間中に何回でも使えるものとそうでないものの2タイプがあります。

さらに「通院は〇〇回まで」「入院は〇〇回まで」のように、通院・入院・手術の枠ごとに1年間で使える回数が決まっているのもペット保険の特徴です。

何回でも使える方がよいように思われますが、回数制限のないタイプは必ず年単位での補償限度額が設定されています。

つまり、次回契約更新までの1年の間に受け取れる保険金には限度額が設定されていて、使い切ってしまった場合は契約期間内であってもそれ以降は保険が使えなくなります。

とはいえ、やはり回数制限がないほうが使いやすいですよね。

窓口清算と後日請求の違い

私たちが病院を利用するときは、窓口で負担分だけ支払うのが基本です。

しかしペット保険の多くは、一旦全額を動物病院に支払い、後日、自分で保険会社に請求する形をとります。

「書類の郵送は面倒だな」と思う方のために、最近では『アニポス』と呼ばれる無料アプリによる保険金請求が可能なペット保険もあります。診療明細書を撮影して送るだけなので、必要事項を書き込んで書類を郵送する面倒な手続きが不要です。(⋆2022年8月現在提携しているペット保険は『au損保』『日本ペット』『SBIプリズム少短』のみ)

入院・手術のみを対象とした特化型保険

ペット保険には様々なプランがあり、特に注目してもらいたいのが入院・手術のみを対象とした特化型保険です。

ペット保険の保険料を高く感じる方は多く、加入しない方の理由の多くはこれにあたります。

しかし大切なペットが重い病気になり手術や入院が必要となった時、まとまった大きなお金が必要です。

毎月、毎年の保険料はできるだけ安く抑えつつ、手術などの高額な費用が必要な場合に備えたいと考える方には、この特化型保険はよい選択肢になるでしょう。

保険対象外の確認

動物病院でかかった費用がすべて保険の対象になるわけではありません。

保険の対象になるのはケガや病気なので、ワクチンや避妊・去勢手術などの予防にあたるもの、療法食や持ち帰り用の薬用シャンプーなどは対象外になります。

そして先天性疾患と呼ばれる、生まれながらにもっている体の異常は保険契約時に告知する義務があり、これに起因する病気は保険対象外となるため注意が必要です。

継続した次年度以降の保険料の上がり方

ペット保険は1年ごとの更新ですが、基本的に保険料は上がっていきます。

ただし、保険料の上がり方は一定ではなく、緩やかに上がるものもあればそうでないもの、またある一定以上の年齢になると保険料が上がらないペット保険もあります。

はじめは問題なく支払えていた保険料が、数年後には高くて続けられない事態にならないよう、契約する際に高齢になった時の保険料にも必ず目を通しておきましょう。

ペット保険会社の比較

チェックマークと女性

2022年時点でペット保険を扱う会社は17社です。

これらの中から選ぶとなると骨が折れますよね。

下記に比較するための簡易的な表を作りましたので参考にしてみてください。

保険会社名
※五十音順
年齢の上限 使用回数
限度
特化型保険の
有無
特徴
アイペット 12歳 ・窓口清算可
・保険契約者数No2
アクサダイレクト 8歳
アニコム 7歳 ・窓口清算可
・保険契約者数No1
イオン 9歳 ・免責金額あり
e-ペット 10歳
SBIいきいき少短 11歳 ・免責金額ありなしのプランを選べる
SBIプリズム少短 8歳 ・補償割合100%
・保険料が変わらない
FPC 8歳 ・保険料が上がるのは最大で3回のみ
au損保 10歳
つばき 12歳
日本ペット 10歳 ・補償割合90%プランがある(6歳まで)
PS保険 8歳 ・保険料の上がり方が緩やか
ペッツファースト ・2022年10月合併予定
ペッツベスト 12歳 ・限度額や補償割合の組み合わせが自由
ペット&ファミリー 7歳 ・10歳以上は保険料が上がらない
・免責金額あり
楽天ペット保険 10歳
リトルファミリー 8歳 ・保険料の上がり方が緩やか

約者数の多いペット保険は?

ペット保険のシェアを大きく占める上位3社は、以下のとおりです。

1. アニコム損害保険株式会社
2. アイペット損害保険株式会社
3. ペット&ファミリー損害保険株式会社

特に上位2社はペット保険を専門として事業を立ち上げた古くからの企業なので、長い時間をかけて信頼を得てきたと考えられます。

信頼と実績を大切にしたいと思っている方にとっては、安心できるペット保険会社といえるでしょう。

近年人気のあるペット保険は?

ペット保険ランキングサイトなどで注目されている人気のペット保険は、以下の3社です。

・株式会社FPC
・ペット&ファミリー損害保険株式会社
・SBIいきいき少額短期保険株式会社

共通しているのは、保険料の上がり方が他のペット保険と比べて緩やかだという点です。

高齢になるほどケガや病気で病院のお世話になる機会も増えるため、保険料は高齢になると急に高くなる傾向があります。

ペットが高齢になった時の保険料の支払いに無理が出ないよう、契約時の保険料だけに着目するのではなく、長期を見据えた見積もりが大切です。

自分に合ったペット保険の選び方

PCと猫

気になる保険の絞り込みができたら、最後に確認の意味を込めて以下の点をチェックしてみてください。

特化型保険の検討

ペット保険には「通院・入院・手術」すべてを補償対象とするものと「入院・手術」のみを補償対象とする特化型のものに大きく分かれます。

当然、前者の方が保険料は高くなるため、出費が高額になるときだけ保険があれば助かると考える方は、後者も検討してみてください。

生涯にかかる保険料の合計はいくらなのか?

ペット保険の特徴として、保険料は毎年上がることが挙げられます。契約時点でおおまかなトータルの保険料を計算してみるとよいでしょう。

計算の方法は簡単で、契約時の保険料から犬や猫の平均寿命である14、15歳くらまでの毎年の保険料を足してみてください。

その金額はこれからペット保険を続けた場合にかかるトータルの費用ですから、ペット保険の比較をするのによい判断材料になるかもしれません。

補償対象外の確認

補償対象外の確認は、初めてペット保険を契約しようとしている方が見落としがちなポイントです。

ほとんどのペット保険は同じような内容で補償対象外が設定されていますが、より多くの病気を補償対象としているペット保険もあります。

ペット保険の補償対象外の項目は契約書類に記載されていますので、必ず目を通しておきましょう。

まとめ

猫を抱き上げる女性

ペットの健康は、すべての飼い主共通の願いです。

ペットとの大切な暮らしを守るために、ペット保険は一役買ってくれるでしょう。

数が多く選択に悩むかもしれませんが、今回の記事を参考に自分に適したペット保険を探してみてください。