大型犬の散歩は大変?時間や距離の目安、必要なしつけについて解説!

ラブラドールレトリバーの散歩をする家族

日本ではまだまだ小型犬が主流ですが、近年は大型犬と暮らす人がかなり増えてきました。

ゴールデンレトリーバーやラブラドールレトリーバー、シベリアンハスキー、バーニーズマウンテンドッグ、秋田犬などの大型犬種をよく見かけますよね。

堂々とした体格の大型犬とともに颯爽と歩く人の姿を見て、憧れを抱く愛犬家も多いのではないでしょうか?

憧れと同時に「体が大きくて力も強い大型犬の散歩は大変?」「初心者には難しい?」……そんな不安もあると思います。

そこで今回は、大型犬の散歩について、1日の回数や距離、時間の目安の他に、必要なしつけや心構え、注意点などをまとめました。

大型犬初心者やこれから大型犬を飼ってみたいという人は、ぜひ参考にしてみてください!

大型犬の散歩|頻度

ゴールデンレトリバーの散歩をする女性

一口に大型犬と言っても、犬種はもちろん個体によっても適切な散歩量は異なります。

例えば牧羊犬・狩猟犬など運動量の多い大型犬種は、散歩量も必然的に多くなります。

また、シニア犬や病気や怪我などで体に故障がある犬には、散歩量を減らすなどの配慮が必要です。

これからご紹介する内容は、あくまでも目安として参考にしてくださいね。

散歩は毎日するの?

犬の散歩は毎日するのが理想です。

散歩は犬にとって適度な運動になるだけでなく、本能である探索活動・縄張活動への欲求を満たすことでストレス発散や気分転換にもなる、非常に大切なイベントなのです。

散歩不足が続くと、ストレスから吠え続けたり家具を破壊したり人に対して攻撃的になったりするなど、犬が問題行動を起こしてしまう場合があります。

また、散歩は飼い主と愛犬のコミュニケーションの時間でもあります。散歩を毎日することは、飼い主と愛犬の良好な関係にもつながるでしょう。

さらに、毎日の散歩によって犬の社会化が進みます。

愛犬が家族以外の人や他の犬、車や大きな音などに過剰に反応することなく、落ち着いて行動できる社会性を身につけるためにも、毎日の散歩は欠かせません。

ただし、子犬の散歩はワクチンの接種が完了してからにしましょう。

ちなみに、散歩を毎日するべきなのは大型犬に限ったことではありません。

犬のサイズや種類に関わらず、愛犬の心と体を健康に保ち、飼い主と愛犬が良好な関係を築いて楽しく暮らすためには毎日の散歩が欠かせないといえるでしょう。

1日の散歩回数は?

大型犬の散歩は、1日のうち朝夕の2回行うのがよいとされています。

ただし、愛犬が室内トイレや庭で排泄できる場合は、1日に1回の散歩でもよいでしょう。

我が家の秋田犬と柴犬は室内トイレのしつけをしてあるので、散歩は基本的に1日に1回です。

夏は暑い時間を避けて涼しい夕方以降に、冬は逆に寒い時間を避けて暖かい昼間に行くなど、季節によって散歩の時間帯も変えています。

大型犬の散歩|時間と距離

散歩をするゴールデンレトリバー

1日に2回散歩をする場合、1回につき1〜2時間、3〜4km程度を目安にするとよいでしょう。

上述のとおり、個体差や愛犬の年齢・体調を考慮して時間や距離を調節してください。

また、大型の牧羊犬・狩猟犬の運動欲求を満たすためには、散歩だけでは不十分かもしれません。

その場合はドッグランに連れて行って思い切り走らせるなど、散歩とは別に運動する機会を折々に設けるとよいですね。

飼い主には体力が求められる!

大型犬の散歩に必要とされる時間は、1日に2回行う場合は2〜4時間、距離にすると6〜8kmです。

当然のことですが、飼い主にはそれだけの距離を歩き抜く体力が求められます。体重があり力も強い大型犬をコントロールするためのパワーも必要です。

我が家の秋田犬は運動欲求が高く体力も底なしで、冬には1回の散歩で10km程度を軽々と踏破します。

毎日10kmとは言わないまでも、涼しい季節は最低でも目安とされている6〜8km程度は歩くのが日課となっています。

真冬の寒さが厳しい日でも、散歩から帰宅すると全身から汗が噴き出すほどの運動量です。

大型犬の散歩には、とにかく体力とパワーが必要なことを覚悟しておきましょう!

車があった方が安心

大型犬に限りませんが、散歩中に犬が歩かなくなってしまうことがあります。

私も経験がありますが、頑なに歩くことを拒否する大型犬は、渾身の力で引っ張っても動いてくれません。

小型犬なら飼い主が抱き上げて目的地まで歩けばよいですが、大抵の人は体重20kg以上の大型犬を抱いて歩き続けることはできませんよね。

そんなときのために、車で迎えに来てもらえる環境が整っていると安心です。

小型犬はキャリーバッグに入れて電車やバスに乗車できますが、基本的に大型犬は盲導犬等の介助犬をのぞき、公共の交通機関を利用することができません。

動物病院への通院やお出かけの際の移動手段としても、車を所有していた方がよいと思います。

大型犬の散歩|気をつけたいこと

黒い大型犬の散歩をする家族

成長期の激しい運動はNG!

大型犬は成長期に過度な運動をさせてしまうと、股関節形成不全を発症するリスクが高まるので注意が必要です。

大型犬は小型犬・中型犬に比べて成長がゆっくりで、成犬になる時期は1歳6ヶ月前後とされています。

それまでは激しい運動を避けるのがポイントです。

足に負担のかかる階段や急な坂道は避ける

体重のある大型犬には、足に負担がかかりやすいという弱点があります。

階段や急な坂道が続くようなコースは、できるだけ避けるようにしてください。

散歩は「走る」ことよりも「時間をかけて歩く」ことに重点を置きましょう。

また、ジャンプなど足に大きな負担のかかる動作を無闇にしないように注意することも大切です。

食事の直後は胃捻転のリスクに注意

胃がねじれてしまう「胃捻転」は、突然発症し死に至ることもある怖しい病気です。

大型で胸の深い犬種に起こりやすく、食後の激しい運動が原因のひとつと考えられています。

食後は2〜3時間、最低でも1時間は愛犬を休ませてから散歩に出かけるようにしましょう。

できれば食前に散歩に行くようにしたいものです。

大型犬の散歩|必要なしつけ

散歩中に犬をしつける女性

体が大きく力も強い大型犬の散歩には、しっかりとしたしつけが必須です。

飼い主と愛犬を守るため、さらには周囲の人や犬を守るためにも、正しい散歩の仕方を身につけさせましょう。

犬が引っ張らない歩き方「リーダーウォーク」

ぐいぐいと飼い主を引っ張って歩く大型犬と、その後を引きずられるようにして歩く飼い主の姿を目撃したことはありませんか?

大型犬にリードを思い切り引っ張られてしまうと、飼い主が転んで怪我をする可能性があります。

また、リードを引っ張り続けることで愛犬の首に過度な負担がかかり、病気のリスクが高まることも心配です。

そこで必要になるのが「リーダーウォーク」のしつけです。

リーダーウォークとは、リーダーである飼い主に犬が寄り添い、リードが緩んだ状態で歩くことを指します。

大型犬と安全な散歩を楽しむために、まずはリーダーウォークをしっかりとしつけましょう。

「オスワリ」「フセ」「マテ」などの基本的なしつけも必須

散歩中に出会う人や犬、車などに飛びついたり突進したりしないように、「オスワリ」「フセ」「マテ」のトレーニングも欠かせません。

興奮して動き回る犬を落ち着かせるためには、状況に応じてオスワリ・フセ・マテの指示を出して犬の動きを止めることが何より効果的です。

これらの基本的なしつけをマスターしていないと、大型犬の場合は人に怪我をさせてしまったり他の犬を怖がらせてしまったり、自分の身を危険にさらしたりすることになりかねません。

リーダーウォークとともに、オスワリ・マテ・フセを徹底的にしつけておくことが大切ですね。

大型犬の散歩|雨の日の散歩

雨の日にレインコートを着て散歩をする犬

雨でも散歩に行くべき?

散歩は犬にとって様々な意味をもつ大切なイベントです。

特に大型犬は運動量が多いので、運動不足やストレスを予防するためには雨の日もできるだけ散歩に行くことが望ましいでしょう。

いつもと同じ散歩コースでも、晴れの日と雨の日では風景や匂い、音がまったく異なります。雨の日の散歩は犬にとって普段よりも刺激的で、いつも以上にストレス発散や気分転換になるかもしれません。

室内トイレで排泄をしない犬の場合は、どんな悪天候であろうと散歩に行く必要があることは言うまでもありません。

レインコートを着せた大型犬を散歩させている飼い主を見かけることがありますが、大変そうだなと思う反面、微笑ましくもありますよね(笑)

体が濡れることから雨の日の散歩を嫌う犬もいますので、その場合は無理をしないで愛犬に合わせてあげましょう。

散歩に行けないときは室内で遊ぼう!

雨などで散歩をお休みした日は、室内で愛犬の気分転換を図りましょう。

以下のような方法で愛犬のストレスを発散させることができますので、ぜひ挑戦してみてください。

・ボール遊びをする
・ロープトイやタオルで引っ張りっこをする
・ノーズワークマット(嗅覚を使ってオヤツを探す知育玩具)を使う
・ナイロン製や木製の噛むオモチャを与える
・骨やヒマラヤチーズ、牛皮の犬用ガムなど時間のかかるオヤツを与える

飼い主と一緒に体を使って遊ぶことと嗅覚を刺激する知育玩具を組み合わせれば、散歩に行けない愛犬のストレスもかなり解消されるはずです。

また噛むことは全身運動になるため、噛むオモチャや時間のかかるオヤツを用意しておくことをおすすめします。

我が家の愛犬たちは体が濡れることを極端に嫌うため、また室内トイレで排泄できるということもあり、雨の日は散歩に行きません。

そのかわり上述の方法を組み合わせて、積極的に愛犬たちの気分転換とストレス発散に努めています。

まとめ

ゴールデンレトリバーの散歩をする女性

大型犬は体が大きく力が強いだけに、散歩が大変な面は確かにあります。

しかし、必要なしつけをきちんと行えば、決して難しいことではないのです。

動物ライターの私Tenは、身長150cm弱・体重40kg弱と小柄ですが、秋田犬と柴犬(合計体重40kg超)を連れて散歩しています。

先代の秋田犬も40kg超と重量級でしたし、それ以前は大型犬2頭(合計体重60kg超)を同時に散歩させていました。

「こんなときに小型犬だったらどんなに楽だろう」と感じる場面はあるものの、それ以上の楽しさと満足感があるのが大型犬との散歩です。

ただし、上述のとおり大型犬の散歩には体力と時間が求められます。

そこをクリアできるのであれば、存在感たっぷりの大型犬との散歩を、ぜひ楽しんでほしいと思います!